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変化する環境の中で芽生えた野球への想い~阪神タイガースWomen田中 亜里沙~

GUEST:田中 亜里沙

ポジション:外野手
2021年から阪神タイガース Womenの選手として、スポーツと仕事を両立。
以前は女子プロ野球選手として活動するものの、2020年に退団。
2021年から阪神タイガースWomenに入団し、外野手として活躍中。

【経歴】
福知山成美高校
大阪体育大学
京都フローラ(~2020年)
阪神タイガースWomen(2021年~)

【阪神タイガース Women】
阪神タイガース Womenは2021年1月設立された女子野球チーム。
NPBに関連するチームとしては、埼玉西武ライオンズ・レディースに次いで2チーム目となる。


男子のプロ野球球団名で女子チームができ、高校生は甲子園での大会が開催されるなど、大きく発展する女子野球界。一方で、2021年に日本女子プロ野球機構(JWBL)が事実上消滅し、多くの選手が活動の場を失った。
一度は野球を辞めることを考えたが、縁あって阪神タイガース Womenに入団し活躍している。田中選手の野球への思い、デュアルキャリア選手へと大きく変化した環境についてお話を伺いました。

※本記事はnote移行前の旧SPODGEから2022年10月5日に掲載した記事になります。

※デュアルキャリア
人生や生涯のひとつの軸を「キャリア」と捉え、そこにアスリートとしての「キャリア」というもうひとつの軸を加えた「二重性」を示す概念。「アスリート」というキャリアは、「人」としての長い人生における一部分、一側面、一時期の期間限定的なキャリアととらえる考え方。
引用:アスリート育成パスウェイ「コラム「デュアルキャリアという考え方」野口順子(日本スポーツ振興センター」)(https://pathway.jpnsport.go.jp/lifestyle/column01.html)



変化した野球環境

ー仕事を探す上で大切にしたことはありますか?

「野球ができる環境」を最優先に探していました。スポナビキャリアを利用させてもらいましたが、野球をやるために、残業なしや土日祝日休みなどいろいろな条件を伝えました。担当の方は大変だったと思います(笑)。

ただ、すぐに数社ご紹介いただき、納得する就職活動ができました。感謝の気持ちでいっぱいです。

ースポーツと仕事の両立には慣れましたか?

今、入社して2年目になりましたが、やっと慣れてきました。
具体的な一日のスケジュールは8:45から17:30まで業務を行い、18:30から20:30、長いときは21:00まで練習を行います。帰宅時間は22:30を過ぎますね。そして、土日もタイガースでの活動です。

最初は正直なところ、体力的に大変でした。ただ、弱音や愚痴をいっても仕方がないので、「やるしかない!」という気持ちで過ごしていました。慣れですね。

ー野球ができる環境がなくなった中、阪神タイガースが女子チームを創設し、田中さんは入団しました。この時の心境はいかがでしたか?

2020年に女子プロ野球リーグがなくなり、プロ野球選手として活動ができなくなりました。プロ選手として
野球人生を終えると思っていたので、当時はどうしようという焦りと不安がありましたね。
もう野球を辞めるか辞めないかを考えていた時に、阪神タイガースが声を掛けてくれました。

「阪神タイガース」という歴史やネームバリューがあり、室内練習場など最高の環境で野球に取り組めると思い、オファーをいただいた時は二つ返事で返答しました。

本当に嬉しかったです。

ースポーツと仕事を両立することで得られるメリットはありますか?

タイガースで野球をするまでは仕事という仕事はしていませんでした。取り組んだことはチームポスターの掲示や宿舎の手配といった簡単な作業でした。

私が今の会社に入社したときは、大学を卒業した社会人の方が3年目を迎えた時でした。入社した時は名刺交換やメールの送り方など全くわからず、周りとの差を感じました。ちゃんと今では名刺交換やメール送付などできるようになりましたよ(笑)

こうした経験は、野球だけをやっていたらできなかったことかもしれません。

営業職として働いているのですが、ご契約をいただくことや、自分がどれだけ働いてお金の流れがどうなってお給料をもらえるかといったことなど、野球だけをしていては、わからないことを知ることができました。野球と同じで周りの方にどれだけ支えていただいているか、大切なことを仕事を通して、学ぶことができていると感じています。

スポーツと仕事を両立することは自分の成長に繋がる良いものだと思います。

変わる女子野球界について

ー女子野球の環境が変わりつつあり、高校や大学でチームが増えるなど、認知もされてきたと思います。

西武ライオンズや私たち阪神タイガースといったNPB(プロ野球)チームに女子チームができ、甲子園や東京ドームで女子の試合ができるようになるなど、女子野球の認知が高まっています。

一方で、まだまだ認知を高めなければと個人的には感じています。

仕事の時、営業先で「田中さん、何かスポーツやってるよね?」と声を掛けていただくことが多いのですが、阪神タイガースの女子野球チームで選手として活動していると答えると、「阪神に女子チームがあるんだ」と驚かれることもあり、まだまだ知られていないなと実感しています。

―今後、女子野球の発展についてどのような思いでしょうか?

NPBの12球団全チームに女子チームができ、全国から集まった高校が甲子園で春と夏を戦うなど、男子と同じように女子もできればいいなと思っています。

営業先でも「あっ、女子野球選手の田中さん」と言われるように頑張りたいと思います。

野球選手として目指すもの

ー現役選手として、野球を続ける理由を教えてください

一番は応援してくれる両親の笑顔を見たいからです。
いつも応援してくれて、私の結果に自分よりも喜怒哀楽してくれています。
また、両親以外にもファンの方に野球を通じて感謝の気持ちを届けたいと思っています。SNSに投稿すると必ず反応してくれますし、熱い声援をいただくことで、心の励みになっています。

あと、個人的にはもう一度タイガースで日本一を獲りたいです。
昨年は関西で圧倒的に強かったのですが、全国大会で関東のチームに負けました。良い環境で野球に取り組んでいるのに、結果を出せないことをプレッシャーに感じました。
今年は、応援してくれる人や支えてくれる人に感謝の気持ちを伝えたいという思いで戦った結果、日本一になることができました。

とても嬉しかったですし、もう一度同じ景色を見たいと思っています。

そして、日本代表に選出される選手を目指していきたいです。

ースポーツを続けることに悩む方へメッセージをお願いします

スポーツと仕事の両立は大変だと思います。しかし、両立ができるのは、自分自身のレベルが高くなければいけないと思いますし、チャレンジしなければレベルアップしません。

仕事とスポーツ2つで上を目指せるものがあるのであれば、2つとも追いかけた方が楽しいじゃないですか!

チャレンジできる環境があれば、2つとも追いかけて欲しいです。


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