デュアルキャリアを実践するためには、心に余裕を持てる環境を作ること。
GUEST:四井沙樹(よついさき)
大分県出身。バルドラール浦安ラスボニータスに所属する女子フットサル選手。仕事とスポーツの両立を体現するデュアルキャリアアスリート。
今回は、デュアルキャリア(スポーツと仕事の両立)アスリートの四井さんへ競技と仕事を両立させる方法と、フットサルの魅力についてお話を伺いました。
※本記事はnote移行前の旧SPODGEで2020年4月24日に掲載した記事になります。
フットサルへの挑戦
―フットサル、サッカーを始めたきっかけを教えてください。
一つ上の兄が小学三年生の時にサッカーを始めて、何も運動してなかった私も一緒にやることになりました。
テニスも一緒にやっていたんですけどすぐ辞めて、サッカー一つに絞りました。
小学校では「FC WAYS」というチームで活動していました。中学生から社会人1年目まで地元のクラブチーム「中津FCポマト」という女子サッカーチームで活動しました。サッカーは運動の一環としてやっていたくらいで、ある時までは本格的な活動はしていませんでした。
―「ある時まで」ということは、本格的に始めたきっかけがあったんですか?
そうです。
2011年になでしこジャパンが優勝した時に感化されて、私もトップレベルで戦ってみたいと思うようになりました。 高校3年生で女子サッカーの実業団を探しましたが、なかなかチームの巡り合わせがなく進路をどうしようかと悩んでいました。
そんな中でチームのオフシーズンにフットサルと出会いました。
フットサルは私の体格がサッカーより合ってるなーと思い、徐々に惹かれていきました。フットサル大会に出場したり、九州トレーニングキャンプに参加したりして、そこで当時の女子フットサル日本代表監督の在原さんにフットサルをやりたいと相談し、チームを紹介していただきました。
そこが、今所属している「バルドラール浦安ラスボニータス」です。当時、社会人1年目で市役所の臨時職員として働いていましたが、契約が満了になるタイミングだったので、7万円だけ握りしめて千葉県の浦安へ向かいました。もちろん、お金は足らずに両親に仕送りをもらいましたが(笑)
そして、現在もスポーツと仕事を両立しながら選手として活動中です。
これまでのお仕事
―今までどういったお仕事を経験されていたんですか?
社会人1年目は市役所の臨時職員として働いていました。社会人2年目から浦安で生活していますが、来た当初は全く仕事を見つけることができず、チームメイトの紹介で飛込営業の仕事を行うようになりました。
この時期はきつかったですね。仕事もお給料も・・・今考えるとよく生活出来ていたなと思います。
その後は、事務職の正社員、オペレーター契約社員として業務しました。オペレーターで勤務していた時は、日本代表に選出されたこともあり、フットサルのことを理解いただくことができて、うまくスポーツと仕事の両立が出来ていたと思います。
ただ、その会社に所属していた時に2度の前十字靭帯断裂という大怪我をしてしまい、1度目は会社の理解があったものの、2度目は会社としてもサポートが難しいとなり、長期の療養が欲しかったので退職を決意しました。
そして、スポナビキャリアに登録し、今の仕事に就きました。
―名前を出していただきありがとうございます(笑)前と比べて今のお仕事はデュアルキャリアを行う環境は良くなっていますか?
そうですね。仕事を選ぶ上で大切にしていたことは自分の時間を確保することでした。前職は通勤に片道1時間以上かかっていましたが、今は勤務地と家が近いので通勤時間を自分の時間として充てることができます。
自分の時間を作れることが仕事にもスポーツにも良い影響があると気付き、良い意味で余裕ができたと思っています。
女子フットサルについて
―女子フットサルプレーヤーでプロの方はいらっしゃるんですか?
現在、日本では1名もいないと思います。基本的にはアマチュアスポーツで、女子フットサルはまだマイナーなスポーツだと感じています。競技人口は多いですが、応援してくれる人がもっと増えてほしいです。
女子サッカーも人気が出てきたので、女子フットサルも伸びしろはあると思っています。
個人的には、メディア露出を増やしてファンを増やすこと・地域のファンをもっと増やす事がこれからの課題だと思っています。
今回のインタビューも実は嬉しくて、現状の課題やフットサルの魅力を発信していきたいと思っていました!
―ありがとうございます。四井さんが考えるフットサルの魅力とはなんでしょうか?
点の取り合いが多いところです。サッカーと比べてチャンスがたくさんあるのでハラハラできる展開が多いと思います。個人のボールタッチ数も多いですし、とても頭を使う競技なんですよ。フットサルを良く見ている人は相手の守備を崩すための頭脳プレーが面白いと言っていただけます。皆さん、ぜひ一度会場に見に来てください!
また、フットサルを通じて人間力を培うことが出来たと思っています。
先ほどもケガのお話させていただきましたたが、復帰するまで本当に辛い日々でした。でも、必ず復帰すると信じてリハビリを行っていました。私は出来るという意気込みで。
その自信を持つ為に、自分に足りない部分を見直し、時間を費やして予習復習をして、メモやコツなどをノートに記すなどしています。今、振り返ると辛い時が大きく成長できるタイミングだと思います。これまでの経験があるからこそ、今の私があります。
―今、活動に制限があると思いますが、どういった活動を行っていますか?
本来であれば週に5日、平日は21時から2時間トレーニングをしています。試合は週末、公式戦がない時はほぼ練習試合があります。
ですが、チーム活動は自粛中なので、空いている時間で自主トレーニングを行っています。体幹トレーニングやランニングなど、出来る限りのことをやってます。今は体作りができる時期なので、実践練習が出来ない難しい時期ですが、必ず乗り越えられると思っています。そのための準備期間ですね!
デュアルキャリアに対する想い
―今後の目標を教えてください。
まず個人として、日本代表に再び選出されることです。ケガが続き一度は代表から離れましたが、自分のパフォーマンスを信じて取り組んでいればまた可能性はあると信じています。チームでは、全ての大会でタイトルを獲る事です。
あと、将来は番組制作やコーヒーバリスタなど、いろいろとやりたいことがあります。その為に、今の活動は悔いの無いよう全力で取り組んでいます。
―最後にデュアルキャリア(スポーツと仕事)に対しての四井さんの考えを教えてください。
自分の時間をつくることです。自分の時間を作って余裕を持つ事で、メンタルコントロールがしやすい環境を作れると思います。仕事と競技で精神的に一杯いっぱいになっても、時間と心に余裕を持つことが物事を冷静に進めていけます。
それがなによりも大事だと考えています。