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最強プラス思考が自分を変える。商社で働きながらボクシング世界チャンピオンへ!木村悠の考え方に迫る!

GUEST:木村 悠

元WBC世界ライトフライ級王者。商社マンボクサーとして、会社に勤めながら世界チャンピオンになった。2016年に現役引退を表明。引退後は、解説やコラム執筆、講演活動やコメンテーターなど多方面で自身の経験を活かし活動中。


今回は、SBT(※)でおなじみの株式会社サンリさんにご紹介いただき、元ボクシング世界チャンピオンの木村さんに対談させていただきました。アスリートNo.1プロジェクトは、サンリさんと当社が協力し運営しております。

※SBT(スーパーブレイントレーニング)とは、日本代表チームやプロスポーツ選手が導入し、数多くのメダリスト輩出実績があるメンタルトレーニングです。

※本記事はnote移行前の旧SPODGEから2019年3月14日に掲載した記事になります。



商社マンボクサーとして 

ー木村さん、よろしくお願いいたします。プロボクサーの傍ら、商社マンとしてもご活躍。なぜ、商社に入社をしたのか教えていただけますか?

最初はプロボクサー一本でやっていこうと考えていました。商社に入社した理由は、簡単に言ってしまえば、試合に負けて挫折したことがきっかけです。僕は大学時代に全日本で優勝していたので、期待されてプロの世界に入ったんですが、プロ2年目の試合に負けてしまい、プロの世界の厳しさを感じていました。

ボクシングにチャレンジしている中で、「自分を変えることの必要性」を痛感したんです。僕が所属している『帝拳ジム』は世界チャンピオンがゴロゴロいるジムでした。そのジムの先輩を見ていると、ただボクシングが強いだけじゃなくて、人間性もすごく良い方が多い。

ボクシングが強いだけじゃこの世界ではやっていけないと痛感しまして、自分を変えるきっかけを探していました。

中でも一番影響を受けたのが大学の同期で、一緒に練習していた仲間たちの話を聞いていると、社会にて出て「すごく自分が変わった」とか「成長した」と言っていたので、僕も社会に出ることで、プロとしての「心構え」や「ボクシングをやることの意義」を学べるんじゃないかと思って、仕事をしながらボクシングをやってみようと考えました。

ー思い切ったチャレンジですよね。入社した会社はボクシングとの二刀流に対して協力的でしたか?

もともと、ボクシングと両立できる仕事を探していたので、入社した会社は「自分の仕事さえやれば、アフターファイブは自分の好きにしていいよ」という自由な社風でした。
自分でスケジュールを組んで調整できる環境だったので、そういうところを選べたことは大きいですかね。会社側は、試合の翌日は休日をくれたりといろいろ柔軟に対応してくれました。

ー木村さんが世界チャンピオンになったのはいつ頃ですか?

プロに入り、商社に勤めながら、8年後に世界チャンピオンになりました。世界チャンピオンになってからは、人としての考え方というか、自分がスポーツ選手としてどうあるべきなのかという心構えやプラス思考でいるための行動から考え方まで変化がありました。

ーボクサーと商社マンの二刀流を行う中で何か得たものはありましたか?

僕がボクシングを始めたきっかけが「自分を変えたい、強くなりたい、成長したい」と思って始めましたが、この考えに一番近かったのが二刀流ですね。
仕事で学んだこととボクシングで学んだこととが相互に好影響をもたらす関係にあったので、二刀流が自分自身を成長させてくれ、結果を出すこともできました。自分を変えてくれたことが二刀流の強みだと思います。

あとは、いつもの自分とは違う視点の自分を作れるんですよ。例えば、一つのことしかやっていなかったら、それが行き詰ってしまうと精神的に追い詰められますが、もう一つ選択肢があればそうならない。心の安定につながりますよね。

ー二刀流の生活を過ごす中で大切にしていたことはありますか?

自主性をもって考えなければいけないことですね。一日の中で練習する時間は限られているので、練習時間が短ければ短いなりに、どういう練習したらいいかを考える力が必要になってきます。ただ練習をこなすのではなくて、自分が具体的にその日に何をやるべきかを考えていました。

僕の場合は、スケジュールを逆算して考えています。なので、まず寝る時間を決めました。アスリートにとって睡眠が一番大事なので、最低8時間は寝ようと思いました。脳のゴールデンタイムを狙って22:30就寝です。一日のスケジュールはすべて、そこから逆算して決めていました。

世界チャンピオンになるための目標設定

ー世界チャンピオンになるために、具体的にどういった考えを持っていましたか?

プロになった当初は世界チャンピオンになろうと思っていたんですけど、現状に対してギャップがありすぎて、具体的なイメージがつかなかったんです。なので、あまりに大きすぎる目標を設定はしないことにしました。

世界チャンピオンになるまでの過程を逆算して行くと、世界チャンピオン→世界ランカー→日本チャンピオン→日本ランカーという順番になりますので、まずは日本チャンピオンにならないと世界チャンピオンになれません。なので、日本チャンピオンを目指すことを目標にしました。

そうすると、目標設定した『日本チャンピオン』になるためはどうしたらいいかと考えていると、日本ランカーの上位になることが必要です。では、日本ランカーの上位になるためには、現在の日本ランカーに勝つことが必要。じゃあ日本ランカーに勝つためには・・・・・と、一番大きな目標から一番身近な目標に逆算をして考えていくわけです。

例えば、会社経営とか営業目標とかもそうだと思いますが、理想と現実は違うので自分の身の丈にあった範囲で、一番自分が届きそうな目標を設定していく。それをクリアしたらまた次の目標を設定していく。最終的な目標から逆算していく事と、身近な目標を達成した実績を積み上げていくことを同時並行して行って考えることが重要です。

ー木村さんの中で世界チャンピオンになることは一つの「目標」だと思いますが、世界チャンピオンになる「目的」は何でしたか?

僕の場合、周りの人からサポート・応援をされていたので、そういう人たちに喜んでもらいたいとか、「応援している選手が世界チャンピオンになった」と言ってもらいたいという気持ちが強くありました。もちろん自分のためでもありますけど、ファンや応援してくれる人、身近でサポートしてくれる人のためにも、絶対に世界チャンピオンになろうと決心ができましたね。

ー応援してくれる人が多ければ多いほど、そういった気持ちは大きくなりますか?

責任感が増してきます。応援団5人と応援団100人の場合、辛い時にどれだけ底力が出るかと言ったら、100人が背中を押してくれる方がすごく自分の力になるんですよね。

ー二刀流として世界チャンピオンを目指している時は周りの反応はいかがでしたか?

最初はそういう選手がいなかったので、否定的な意見をいただくことが多かったですね。「中途半端だ」とか「実例がない」など、「世界チャンピオンは絶対無理だ」と面と向かって言われたこともありました。応援してくれる人もいましたけど、それ以上に批判的な人が多かったと思います。色物で見られた感じはありましたね。

ーなるほど。批判的な意見を言う方々へ思うことはありましたか?

単純に見返してやろうとエネルギーに変えていました。ただ、世界チャンピオンになった時に思ったんですけど、もちろん応援してくれる人へ感謝の気持ちは湧きましたけど、批判的な人とかそういうことも含めて自分に影響を与えてくれたので、ありがたいと思えるようになりました。

捉え方だと思っていて、「なんで自分が世界チャンピオンになれたか」と考えた時に、いろんな人と関わりもそうですし、そういう批判的な声とかポジティブな声も含めて、自分が勝つことに貢献してくれたと思ったので感謝の思いはありましたね 。

就活と部活動

ー少し話を変えますね。今、部活動と就活の二刀流を頑張っている学生が多くいます。その中で、「部活がいそがしくて就活できない」と悩む学生がいます。何か伝えたいことはありますか?

ちょっときつい言葉ですが「言い訳するな」ですね。理由は、何かのせいにしたら他責になってしまう。自責の念をもって自分で考えて行動するべきだと思います。

社会に出たときに、仕事だけをしている人はいないと思うんですよね。例えば、家族がいて家庭も見なきゃいけないとか、友達付き合いや趣味など二刀流、三刀流をしていると思うんですよ。もう少し大きな視点で考えて、何かのせいにせず、責任をもって自分で判断しなさいと伝えたいですね。

ー部活動と就活。両方とも頑張ろうと思っているけど、「うまくいかない」と思っている学生に対してはどうですか?

上手くいかないと思っていたら、うまくいかないですよね。うまくいかないことも試練や課題だと思って、「どうしたら上手くいくか」という思考に変えて糸口を見つけていくことが重要です。例えば、「スポーツをやりながら就活しているということをアピールする材料にするか」とか、「就活で感じた緊張感とか経験をスポーツに活かしていくか」と考えていかないと、別々のものになってしまってもったいないですから。就活とスポーツは一緒なんです。

ちなみに、スポナビさんはアスリートの経験を活かしながら自分達のポテンシャルを活かして「どうやって社会で活躍していくか」をテーマにしていますよね。とても重要ですし、価値のあることだと思います。
―ありがとうございます!

プラス思考がチャンスを掴む


ー木村さんは仕事とスポーツの両方をやるべきだと最初から考えていましたか?

最初から両立しようとは考えていませんでしたが、考え方は徐々に変わっていきましたね。僕の場合、仕事からボクシングへのヒントを探そうという目線でやっていたので、「ボクシングで役立つヒントはどこにあるかな」という視点で仕事をやっていましたし、仕事の中でも「どうやったらボクシングの経験を活かせるかな」と考えていました。仕事とボクシングを両立していることを活かしたかったので。

部活動をやっている人達の多くは目的が定まってない。なんとなくの流れでやってきてしまっていて、自分がその競技をやることで「どうなりたい」とか「どう成長したい」が見えていないと思うんですよね。そうすると、現状のきついことなどに音を上げてしまったりすることが増えてしまいます。しっかりマインドセットして自分の目標・目的を、大きな視野で捉えられたらもうちょっと変わっていくのかなと思いますけどね。

あとは教育ですよね。「自分がどういう指導を受けてきた」とか「どういう考え方をするか」など親からの教育や学校の教育も影響すると思います。

僕の場合は比較的自由に育てられてきたので、柔軟な考え方ではあったと思います。ネガティブな事を言わないとかマイナス思考にならないとか、もともとプラス思考になる考え方の種を植えられてきましたし、サンリさんの話を聞いてさらに開花しました。ネガティブに考える人は無意識にネガティブに考えてしまう癖がついているので、どこかでプラスの自分に変えていく必要があるというのはありますよね。

ー世界チャンピオンになれたのもプラス思考でいることが必要なのかもしれませんね。

世界チャンピオンになれる選手となれない選手の違いは、「自分を信じる力」とか「プラス思考」だったり「応援を力に変えることに優れている」ことに共通しています。僕が世界チャンピオンになるためにどうしたらいいかってことを考えた時はそういった選手たちの真似をしていました。そう考えると環境は人を変える大きな要素かもしれないですね。

ー環境は縁や運もあると考えています。縁や運をつかむ人の共通点は何かありますか?

チャンスって人が運んで来てくれると思うのでチャンスが来ても掴むか、掴まないかは自分次第だと思います。だから自分の感性とか感覚を信用することが大事かもしれないですね。だから「失敗してもいいや」という心構えでチャレンジしていくことが大切だと思います。

ー感性や感覚を鍛えるとしたら、木村流でいうと?

鍛える方法ですか・・・。場数を踏むことじゃないですかね。僕もいろいろな人との出会いを増やす努力はしていました。
100回チャレンジをして99回失敗してもいいぐらいに思って、いろんな人に会う努力をしていかないとそのチャンスは掴めないと思いますね。行動に起こせば経験値も貯まりますし、人を見る目も養われます。失敗を恐れないでチャレンジしていくということは絶対必要ですよね。

ー縁や運のために行動すればゆくゆくは自分のためになりますからね。特に学生に聞いてほしいお話です。

学生ってコミュニティが小さくて、特に部活動は考え方が一つの価値観で染まっていることが多い。だからこそいろいろな所で積極的に人と関わることや、会う機会を増やすことがいいんじゃないかと思いますね。

僕も24歳の時に仕事とボクシングの二刀流になって、いろいろな方に興味を持ってもらえました。人が人をつないで応援者や、スポンサーになっていただいたことがすごく多かったので、若さを活かして今のうちからどんどん大人と会う機会を増やして自分の価値観を広げていくことが大事だと思いますね。

スポーツ界について

ー全寮制とか外の空気と触れない機会が多いスポーツ(部活動)界の中で、少しずつ日本が変わろうとしていると思います。今後のスポーツ界に期待することはありますか?また、伝えたいことはありますか?

僕自身、ボクシングに出会えたおかげで、様々な経験をさせてもらってここまで来ることができたと思っています。これからはもっとスポーツが人を成長させる欠かせないものになると感じています。

なので、スポーツ界は閉ざされたコミュニティではなくて、競技の枠を超えて一般の方も含めて巻き込んで行けるような仕組みづくりや体制を作っていってほしいなと思いますね。

ー一方ビジネスマンの視点で見たスポーツ界へ伝えたいことはありますか?

もっとプロモーションを強化することを考えたほうがいいですよね。平成の時代って、良いものであれば興味を持ってもらえる時代でした。
でも、ボクシングや格闘技を見て思うんですけど、プロモーションなど時代に合わせて、興味を持ってもらえるような仕組みづくりをしてかないと、どんどん競争って激しくなっているので、努力しない競技は衰退していくと思うんです。

だから、もっとビジネス界から学ぶことが必要です。例えば、アイドルたちが人に興味を持ってもらうためにSNSを活用したプロモーション活動など、もっとスポーツ界もいろいろな情報を発信していかないとスポーツを見る人が減ってしまうと思います。

ただ、「SNSを通じてどういう風に広げていくのか」とかしっかり教育をしてかないと、Twitterとかはすぐに炎上したりしてしまうので、「何のためにSNSを活用するのか」とかメリット・デメリットをちゃんと説明した上で選手に主体性をもってやらせるべきだと思いますね。


ーそうですね。情報が多いこの社会で、情報発信の方法は本当に重要ですから。

スポーツ界の悪い所は、60、70代の方々が上にたってピラミッド形式になっているわけですよ。僕らみたいな30、40代の若い人たちが自分の考えを発信しにくい構造になっていると思います。縦社会になっているのでチャレンジができないような感じになっていますよね。時代の流れは早いので、自分たちの現役だった頃のやり方や風習とか良い部分は残しながらも柔軟な対応が必要です。

だから僕も個人で動いて外部から色々とボクシング観戦ツアーを開催したり、Yahoo!ニュースを書いたりしています。

―時代に対応する力ですね。

今、発展・成長しているIT業界は自由じゃないですか。若い人がどんどん入ってきて、ホリエモンとかキングコング西野さんなど例にとっても、好きなことをやって、マーケットが広がっているじゃないですか。
逆に昔の時代を引きずっている仕事とかは閉鎖的で衰退していると感じます。そういうところに若い人はいきたいと思いませんし、今の若い人達は楽しくてワクワクできるような仕事や、自分が活躍できる仕事に自然と興味を持つと思います。

プラス思考でいること

―インタビューも終盤になりますが、いろいろな価値観がある中で、木村さんが考える「良い社会」とはどんなことに期待しますか?

もっと若者を応援してあげるような社会になれば、すごく日本が発展していくと思います 。

最近は若い人から学ぶことが多いですよね。今の20代達は『新型』なんですよね。スマホに出会ったのも早いですし、新しいテクノロジーを吸収しながら育ってきている環境があるので、考え方は新しいですし、発想力も素晴らしい。時代に合っているなと思いますね。だから本当に若くても結果を出している人って多いですし、年功序列とか年齢が関係ない時代になってきたなって思いますね。

ー時代の流れに柔軟に対応しなければいけない社会ですよね。その中でも大切にするべきことは何でしょうか?

人への思いやりや感謝の気持ちなど人として当たり前のことですね。例えば、「ありがとうございます」と伝えることや年上には尊敬の念を持つことなど大事にしていた方がいいなと思います。結果を出している人は礼儀や態度がしっかりしています。活躍し続けるボクサーは、もちろん強いなど理由はありますが、加えて周りに応援されたり、人の思いを力に変えたりなど、人への態度など含めてすごく尊敬するところがありますよね。人間力が高いですよね。


ー人間力は木村流でいうと、どう高めることができますか?

そうですね。一番簡単なのは「立場」ですよね。例えば、会社でも社長と課長は立場が違うじゃないですか。立場が人の人格を作ると思いますよね。

僕もいろんなチャンピオンを見てきましたけど、有名な選手や強い選手が最初から人間力が高いかというと、そんなことはなくて、態度がひどかった人もいました。応援されて結果が出ている人は考え方が変わりますし、立場も変わるので、立場がその人のポテンシャルを高めてくれているなと私は感じますね。

ー木村さんの活躍で後輩ボクサーへ何か良い影響を与えられていると感じる時はありますか?

仕事をしながらボクシングにチャレンジしている選手も増えました。就職や仕事に対して相談を受けたりしますので、少しは信用されているのかなと思います。

ー最後に、木村さんはプロボクサーと商社マンという新しい「0から1」を作られた人だと思います。こういった人になるためにはどうしたらなれるでしょうか?

プラス思考でいることですかね。何かやっている時にはすべてが良いことだけじゃない。その中で良い事も悪い事も、一歩突き進んで「俺なら大丈夫だ」とプラス思考でいることは必要ですよね。

―木村さん本日はありがとうございました!

木村悠さんの情報はこちら↓↓
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