「ちょっと、お兄さん。お肉焼けるまで、ビーチテニスやりませんか?」誰でも簡単、すぐに楽しめるビーチテニスってなんだ?
GUEST:冨岡博之(とみおか ひろゆき)
ビーチテニス日本ランク7位。MIX(男女混合)2位。
ビーチテニスの普及、強化に努める男。高校からテニスを始め、大学4年時にビーチテニスと出会う。
※ランキングは2019年8月15日付け
夏と言えば海!海と言えばビーチ!ビーチと言えばビーチテニス!今回のインタビューはビーチテニス日本ランカーの冨岡さんにビーチテニスの魅力をお聞きしました。
※本記事はnote移行前の旧SPODGEから2019年9月3日に掲載した記事になります。
ビーチテニスってなんだ??
―冨岡さん、今日はよろしくお願いいたします。ビーチテニスの魅力について深掘りさせていただいます!まず簡単にビーチテニスについて教えていただけますか?
まず、概要から。
ビーチテニスは砂浜で行うスポーツで、ノーバウンドでテニスを行います。ルールはバドミントンで、形式がテニスといった感じです。
コートはビーチバレーと同じ広さで、横が8m、縦が16m(片側は8×8の正方形)になります。
ネットの高さは170cmで、使用するボールは、テニスボールより少し柔らかい、テニスのジュニア大会と一緒です。
ラケットは、「パドル」と呼ばれ、外側は「カーボン」、中は「ウレタン」でできていて、厚さは22 mmくらいです。テニスラケットより小さくて短いものになります。
一般にあまり出回っていませんが、お店もありますし、ネットでも購入できます。あとは、海外へ行く人に買ってきてもらうことが多いですね。値段は1万円~3万円で、テニスと比べると、ガットなど消耗品がないので、そこまでお金もかからないです。
―主なプレーヤー層としてはどのような方々がいらっしゃるんですか?
男女ともにできるスポーツで、年齢層は子どもから大人まで本当に幅広くできます。日本の競技人口も1万人いると言われていますが、その中で、競技者として上位を目指している人は300人くらい、年代にして20代から50代までのプレーヤーがいらっしゃいます。
エンジョイイベントとして、ペアで70歳以上や80歳以上というルールで行うことはありますけどね。世界大会だと、Over40や50での試合はありますよ。
―老若男女問わず、楽しめるスポーツなんですね。冨岡さんはビーチテニスに出会う前は、いわゆる“普通の”テニスをやっていたのでしょうか?
そうです。高校3年間は部活動で、大学はサークルで活動していました。スポーツ全部に興味があって、特に球技が好きなので、サッカーや野球も経験したことがあります。
―ビーチテニスに出会ったきっかけは?
高校時代のテニスコーチが、ビーチテニスで日本一を目指していたので、コーチの試合を見に行ったことが最初の出会いでした。
大学3年生の秋に、サークル活動が終わってから、就職活動を行いましたが、4年生の4月には無事終わったので、卒業までの1年間時間が空いてしまうことも継続できた理由かなと思います。
―実際プレーしてみた率直な感想はいかがでしたか?
砂浜ゆえ、とにかく足が疲れます。あと、コートの大きさも外から見ているより広く感じました。実際の大きさは通常のテニスコートより小さいですが、ノーバウンドで対応しなければいけないのですし、瞬発力はとても重要になります。でも、砂に足を取られますし・・・・大変でしたね(笑)
ただ、楽しくてラケットをすぐに購入しました。ちょうど同年代の2人が同じ時期に始めたので、毎日やっていましたね。自宅から20分くらいの鵠沼にあるビーチバレーコートを利用できるので、環境は最高でした。
―近くにビーチテニスができる環境があったことも続ける大きな要因ですね。
わざわざ名古屋や新潟から来る人もいるので、僕の場合は、だいぶ恵まれている環境でした。鵠沼はサーフィンでも有名なので、シャワーなどの設備も充実しています。
―主な活動拠点は鵠沼になりますか?
主な拠点は、鵠沼、大磯、大森、小田急藤沢テニスクラブに一面だけ砂のテニスコートがあります。基本的には神奈川を中心に活動をしていますね。
―海岸付近だけにあると思っていました。距離が離れた各施設間を移動する機会が増えると、交通費を含む活動資金が沢山かかるのでは?
そうですね。今は、大森での体験会でコーチとして指導をしています。アルバイトも行っているので、遠征費などに使用しています。
ビーチテニスの特徴
―冨岡さん、今の日本ランキングは何位ですか?
ミックス(男女混合)ランキングは1位です。テニス協会(JTA)が定めた男子ランキングは3位になります。
ランキングは、大会に入賞することでポイントが付き、その合計によってランキングが決まります。特に、海外の試合はポイントが多くつくので、積極的に海外に行く選手もいるんですよ。
日本代表もランキングの上位2人が選ばれる仕組みがあって、2人の合計ポイントによって大会のシード権が決まるんです。シードに入らないと厳しいドローになる可能性もあるので、結果的にポイントを多く持っている人が有利になります。
僕も国際大会で優勝した経験があります。正直なところ、海外選手との実力の差は大きく開いていないと思う一方で、海外選手との試合経験が少ないため、戦いづらい側面もあります。
―独特なルールのように感じます。お話を聞いているとペアもランキング上位になるために、重要なことだと思います。
そうですね。人によっては、海外選手とペアを組む人もいますからね。
基本的に、一度でボールを返さなければいけないビーチテニスでは、ビーチバレーと比べると、ペアと協力する事が少ないので、誰とでも組むことができます。逆に言えば、個人の力で勝ててしまうこともあります。
―ペアを決める上で、制約事項やルールはあるんですか?
特にありません。ビーチテニスの場合、同じ場所で同じ人たちと試合する事が多いので、大会毎や時期を決めて、お互いに「やりましょう」という感じで組むことが多いですね。
僕の場合、今は年間通して決まったペアと活動していますが、それまではバラバラに組んでペアの特徴を知るなど勉強をしていました。
―なるほど。ビーチテニスをプレーする方は、テニス部出身者が多いんですが?
うーん、50%くらいだと思います。ほかのスポーツであれば、バレーボール出身者が多いですね。あとはバドミントンですね。ビーチテニスと近い競技なので。
特にバドミントンは、ドロップやスマッシュの打ち方は参考になります。テニスだと両足でジャンプすることや、高い所からのドロップとかありませんからね。
ビーチテニスは、いろんなスポーツからエッセンスもらって上達できるかなと思っていて、ビーチバレーのフットワークを学びたく、トレーニングをお願いすることもあります。
―プレーする中で、気にすることはありますか?例えば、天気とか。
風は一番嫌ですね。テニスボールより少し空気が抜けていて軽いので、風で流されてしまうんです。大雨や雷でも試合は中止になりますが、風が強くて中止になるケースもありますから。
―風が天敵なんですね。そもそもの疑問なんですが、夏の砂浜ってめちゃめちゃ熱くないですか?
基本的には裸足でプレーしますが、おっしゃる通りで熱すぎるとやけどします。水ぶくれとかなりましたね。なので、サンドソックスを履いてプレーします。
サンドソックスは熱と砂浜にある危険物(石やサンゴなど)から足を守る効果があるんです。
あとは、熱い所でやり続けて足を鍛えてます(笑)熱くても、我慢していれば、試合ができるようになるんですよ!
―ここにきて、まさかの精神論!(笑)
いえいえ、足裏の皮膚が固くなって熱さに耐えることが出来るようになるんですよ(笑)ビーチバレーの選手や周りもよく言っていますから、これは本当です!
―トレーニングは裏切らないということですか(笑)ちなみに、冨岡さんの得意プレーを教えてください!
サーブとスマッシュとリターンですね。なるべく手数を少なくしたいと思っているので。
逆に、今のペアはラリーが得意で、サーブもゆっくり打つタイプなんです。ペアは日本一ラリーが上手いといっても過言ではないと思っています。
―チームバランスが良さそうに思える。2人がランキング1位になるのも、すぐそこですね。
大会で優勝すると賞金などあるんですか?
ありますね。3,000ドル(30万円くらい)など、大会のガイドブックに記載があるものは賞金が出ます。ただ、上位入賞者に割り振られるので、優勝しても3万円程度。ベスト8から貰えますが、3,000円程度です。マイナースポーツの現状ですね・・・。
ビーチテニスの課題
―厳しい世界ですね。賞金など「お金」は普及などに、大きな影響を与えると思います・・・。
「お金」は課題ですね・・・。お金がとにかく無いんです。選手、協会ともに。
あと、環境的のことを言えば、プレーする場所ですね。活動拠点が少ないのが課題で、ビーチコートをいろんな場所でも作ろうと活動していたんですが、あまりうまくいっていない状況なんです。コートができれば、何より普及に繋がりますから。企業や行政など協力があれば、もう少し普及ができるかなと思います。
―「お金」と「場所」はマイナースポーツの大きな課題ですよね。日本代表になった場合の遠征費はどうなるんですか?
代表になった場合、日本テニス協会がある程度援助してくれますが、少し足りないぐらいです。
―本当に厳しい世界ですね・・・。世界で活躍する方の中で、プロなどいらっしゃるんですか?
プロ選手はいますが、賞金だけで食べていける人はいないと思います。企業支援や、コーチなどで稼いでいます。世界のトップであれば、少し値段を高くしても、受けたがる選手が多いので稼ぐことができるんです。
―海外試合にたくさん出場している選手は資金をどうやっているのか興味があります。
海外遠征に多く行ける選手は、企業理解があり、遠方でも仕事ができる働き方をしているので、正社員として働きながら選手を行っています。例えば、英語が得意な人なら翻訳の仕事を行っていたりしますね。
―冨岡さんにもスポンサーはいらっしゃるんですか?
幸いなことに、物品のご支援をいただいております。あとは、大田区は体験会など開くときに、僕ら選手に声を掛けてくれて、指導料として、いくらかいただくことができます。どのような形でも選手に還元いただける環境は本当にありがたいんです。
僕らの広げ方もあると思いっています。今は、ご支援いただく企業様からご依頼いただいて、物品を使用している様子をSNSなどで拡散したりしていますが、こういった活動をもっと広げていかなければいけないと思います。
最近ですと、ビーチテニス全体で動画配信を行っていて、センターコートで行う大きな試合はライブ配信して、世界中のどこでも見られるような仕組みがあります。
―多くの人の目に触れる事が大切ですからね。
こういった活動をもっと自分たちで動いていかなければいけないと思っています。
企業さんからのスポンサーを増やしていくことが、今後の活動に大きく影響していると思いますし、自分自身を売り込んで行かなければと思っています。
ビーチテニスの普及も行う事が、日本ランカーの責任だと考えているので。
―今日のお話を聞いていても、触れてもらう環境さえあればもっと普及が加速すると確信しました。最後に、選手としてでもそうでなくても構いませんが、冨岡さんの今後の夢はどういったものですか?
まず、日本代表になること。そして、ビーチテニスだけで生活できるような選手に第一号としてなることですね。ビーチテニスの未来が開ける大きな一歩となるように、頑張っていきます。