野球界を更に盛り上げるために!「#社会人野球盛り上げ隊」の活動に迫る。 ~元社会人野球日本代表 猿渡 眞之~
GUEST:猿渡眞之(さるわたりまさゆき)
元社会人野球選手。
私立飯塚高等学校→大阪ガス。2017年には日本代表入りを果たす。
社会人野球の知名度アップを図るため、自身を「#社会人野球盛り上げ隊」と名付け、SNSで社会人野球の魅力や各チームの主力選手の魅力を伝える投稿をするなど、野球界を盛り上げるための活動を行っている。
猿渡さんのSNS https://www.instagram.com/sarutore_gram/
※本記事はnote移行前の旧SPODGEから2021年11月26日に掲載した記事になります。
社会人野球は大人の甲子園
ー高校卒業後、社会人野球選手として活躍されました。野球をはじめたきっかけを教えていただけますか?
小学1年から野球を始めました。
当時、自宅の目の前に野球グラウンドがあるという恵まれた環境にあったため、いつも野球を見ていました。
ある日、もっと近くで見てみたいと思い、グラウンドまで見に行った際に監督から「一緒にキャッチボールをしよう」と声を掛けられたことがきっかけで入団しました。
自宅の目の前がグラウンドなので、練習前は外から「まさゆき~!」と呼ばれるので、さぼることが出来なかったですね(笑)
また、父が自衛隊だったため、毎朝駐屯地まで往復6キロを走らせるスパルタ教育を受け、休みなく練習する日々でした。
中学では、陸上部と野球クラブを掛け持ちしていました。3年生の時には複数の大会で優勝することができ、陸上競技で高校への推薦もいただきました。
しかし、私は高校でも野球したいと考えていたため、福岡にある飯塚高校へ入学しました。
幸いにも1年生からベンチに入ることができ、3年時は九州大会で準優勝の成績を収めることができました。
高校卒業後は、監督からの推薦もあり、実際に社会人チーム(大阪ガス)の野球環境を見て、社会人野球でプレーすることを決意しました。
振り返れば、青春時代は全て野球に捧げました。当時、父や野球クラブの監督には反発心もありましたが、あの厳しい指導がなければ、社会人でも競技を続けていなかったと思うので、
今は本当に感謝しています。
-社会人野球とプロ野球の違いを教えていただけますでしょうか?また、社会人野球の特徴を教えてください。
まず、皆さんが良く知るプロ野球について簡単に説明いたします。
プロ野球は1年間の長期リーグ戦を行い、優勝、上位チームを決めます。その後日本シリーズで戦い日本一を決めます。
一方、社会人野球は基本的にトーナメント形式で試合を行います。「負けたらそこで終了」。大人の甲子園のようなものですね。
ですから、1試合にかける想いや熱量がものすごく高いです。緊迫した試合が多いため、絶対エラーをしない人がミスしたり、大事な局面で打ったりなど、プロ野球よりも「まさか」の展開が多いと思います。
大人が汗水を流して、ひたむきに野球に取り組む姿は心に響くものがあると思います。
ー社会人野球を観戦したことがありますが、応援席の熱量もものすごく高ったと感じました。
応援はすごいですね。
会社をあげて応援してくれています。試合当日まで、ブラスバンドやチアリーダーなど応援団の方々が一生懸命に練習をして、選手と同じ気持ちで試合に臨んでくれています。
試合に負けてしまうと応援団の方々が選手たちに謝りに来てくれるぐらい!(笑)応援団やお客様の気持ちや熱量は、選手にもすごく伝わってきます。
アスリートの価値、必要性
ー社会人野球選手は仕事とスポーツを両立されていると思います。猿渡さんはどのようなお仕事をされていたのでしょうか?
私は経理を担当していました。通常期は、午前中は経理の仕事、午後は野球の練習。強化期間は一日中練習をしていました。まさに“闘うサラリーマン”として、仕事も野球も真剣に取り組んでいました。
ースポーツと仕事を両立するために意識していたことはありますでしょうか?
社会人してのマナー、一般常識などを学び、人間力を高めることを意識していました。
私たち野球部の活動を理解し、応援してくれていた会社、社員の皆様には常に感謝の気持ちを持ち、「野球だけをやれば良い」という考えは持ってはいけないと肝に命じていました。
野球教室や地域の清掃など、社会貢献活動に積極的に取り組んでいました。
社会貢献活動は私たちの使命であり、会社、地域に貢献していくことがアスリートとして必要なことだと思っています。
ーアスリートとしての価値、必要性を考えていたのですね。
そうですね。
野球人として野球で貢献することが大切だと考えていたので、野球教室でやってみたいことがたくさんありました。ですが、いざ開催してみると、たくさんの課題も見つかりました。そんな時も周りの方がサポートしてくださり、なんとか無事にやり遂げることができました。
野球を引退した時も、周りの方から「やりたいことをやれ」と背中を押していただいたおかげで、やりたいと思ったことは、どんな壁にぶつかったとしても迷わず突き進もうと決心しました。常に周囲の方に支えられていますね。
「社会人野球盛り上げ隊」とは?
ー猿渡さんが取り組んでいる「社会人野球盛り上げ隊」もその一つなのですね。
2年前からSNSで「#社会人野球盛り上げ隊」のハッシュタグを付けて投稿していました。社会人野球を盛り上げるため、みんなを巻き込むために敢えて「隊」という漢字を付けました、
最初は私一人で粛々と取り組んでいましたが、必然かのように同じ想いの仲間が集まり、2021年2月から5名で本格的な活動を開始しました。
この活動には多くの方から賛同をいただき、テレビや新聞など多くのメディアにも取り上げていただきました。
活動開始と同時にアカウント開設したInstagramは約8ヶ月でフォロワーが4,000人を超え、「#社会人野球盛り上げ隊」のハッシュタグは5,000件以上使用されています。今では、社会人野球選手だけでなく、ファンの方々も社会人野球盛り上げ隊と名乗って発信してくれています。
社会人野球の課題は、【認知度】だけだと思っています。実際に社会人野球を見た人の95%以上が楽しいと感じてくださっているという結果も出ています。
とにかく一人でも多くの方に“社会人野球”について知っていただき、実際に見ていただければ、必ず、社会人野球を目指す選手やファンが増えていくと考えています。
私自身もたくさんの声援の中でプレーをした時は気持ち良かったですし、ファンの方々も喜んでくれていました。
ー選手も観客も喜んでもらえる環境が作れれば、更に注目が集まると思います。
他にも、SNSで野球のピッチングに特化したInstagramアカウントを作成しました。(アカウント:@sarutore_gram)
ピッチング技術や練習方法など、私が経験したことをアウトプットする場所を作ろうと思いました。
私らができることは、自分たちが持っている経験、知識を残すことだと思っています。この活動も、チームメイトに声を掛けて賛同者を広げていきました。
これにより、知られざる社会人野球のレベルの高さについて知られるきっかけになりました。
ー盛り上げ隊としてどのような活動を行っているのでしょうか?
SNSでは社会人野球を知ってもらうための試合情報、チーム情報、試合の大会結果、活躍した選手のヒーローインタビューを配信しています。
最近は、YouTube(トクサンTV)、テレビ大阪(やさしいニュース)、朝日新聞といったメディアにも取り上げていただけるようになりました。
そして、野球教室の開催や地方大会のライブ配信といった実際に野球に触れてもらう機会を増やしています。
社会人野球盛り上げ隊の協力もあり、このような地道な活動を評価いただき、結成から約7ヶ月で日本野球連盟公認サポーターに任命をいただくことができました。
猿渡さんが目指すもの
ー盛り上げ隊の活動で目指しているものは何でしょうか?
まずは、「ドームを満員にする!」ことが目標です。
この活動を成功させた先の個人的な最終目標は、スポーツ全体を盛り上げることですね。日本のスポーツの力を底上げしたいです。
欧米では中学生くらいまでに色々なスポーツを経験します。そして、色々な競技を経験した後に一つの道を選びます。
日本の場合、小さな頃から一つのスポーツを長く続ける文化がありますが、たくさんの競技を経験した方が、心身ともに成長すると思いますし、道がたくさん開けると思います。
そのためには、他競技の選手も巻き込めるよう、積極的に交流を持つようにしています。
ースポーツを頑張る方へメッセージをお願いいたします。
スポーツはいろいろな経験ができます。
その中には必ず勝負があります。勝った時の喜び、負けた時の悔しさ、次勝つためにどうするか。こういった想いや経験は山ほどあると思います。これを経験できるのはスポーツを続けているからです。
私はサッカー選手の本田圭佑氏の「成功を求めるなら成長をつづけろ」という言葉を胸に取り組んできました。
一生懸命挑戦して、壁にぶつかって、それを乗り越えるためにどうするかをチャレンジし続ける。その中で、人間力や精神面でも成長します。
一生、野球(競技)だけできる人は少ないです。いつか引退を迎えます。
ですから、競技引退後の人生が大事です。
その時、スポーツの経験が大切になります。その経験を十分に活かすために今のスポーツを精一杯頑張ることが必要です。より人生がハッピーになると思います。
スポーツは最高ですね!
スポーツを経験した人は気持ち、行動、豊富な経験を持っています。もしスポーツを辞めて、仕事に取り組むなら妥協はしてほしくないです。これだけやってきたら負けないし、自身がある。スポーツに取り組んで絶対いい経験をしている。
自分を過信してでも、高みへの挑戦をしてほしいです。