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エンターテインメントの世界でスポーツに還元を。 ~パフォーマー 祝陽平~

GUEST:祝 陽平
白Aのメンバー。男子新体操で培った高い身体能力を活かしたダンス、アクロバット、芝居を得意とする。また、振付、映像制作、演出までマルチに担当。
現在は仙台89ERS男子チアはっくるずキャプテン、ONE team Legendの代表としても活動する。

合同会社白A
https://www.siro-a.com/
プロジェクションマッピング、ARなどのテクノロジーで今までにないエンターテイメントを創り出すパフォーマンス集団。
パフォーマーとしての実⾏⼒とクリエイターとしての企画⼒・実現⼒を武器に、⽬まぐるしく変化する激動の社会に新しい価値を⽣み出します。


今回のインタビューは、スポーツの価値/可能性をエンターテインメントの世界で広げる祝陽平さんをゲストにお招きしました。
白Aのパフォーマーとして、指導者として、男子新体操の魅力を伝え、子ども達がスポーツに取り組む環境をより良くし、スポーツを通じて、大きく成長してほしいという想いを込めて活動をしております。
様々なフィールドでスポーツの経験を活かし活躍する祝さんのスポーツに対する考えや想いをお聞きしました。

※本記事はnote移行前の旧SPODGEから2021年10月15日に掲載した記事になります。


祝陽平/合同会社白Aの実態に迫る

―祝さんはパフォーマンス集団『合同会社白A』のメンバーとして活動しております。どのような団体なのか詳しく教えていただけますでしょうか? 

『合同会社白A』はプロジェクションマッピング、ARなどのテクノロジーを使い、今までにないエンターテイメントを創り出すパフォーマンス集団として活動しております。

私は高校卒業後、芸能事務所に所属し、2年間俳優として活動していました。同じ事務所で白Aも活動をしていました。

もともと、白Aは2002年に宮城県宮城広瀬高校の演劇部メンバーが立ち上げた団体で、お笑い芸人出身など、ダンス経験など全くないメンバーが集まり、パフォーマンスを行っていました。

2015年頃、白Aでアクロバットができるメンバーを募集していることを聞き、男子新体操で培った能力を活かせると考えて、白Aに入りました。

白Aには2017年頃まで在籍しましたが、『フエルサブルータ』というパフォーマンス集団のキャストとして活動するために一度離れました。
『フエルサブルータ』での活動を終えた2018年に白Aが事務所から独立するため、一緒にやらないかと誘いをいただき、独立時に再度メンバーとして入団しました。

東京で活動をしていたのですが、コロナウイルスのこともあり、現在は活動拠点を仙台に移しました。
仙台では、人の温かみを感じて仕事ができています。
仙台でイベント相談を行った際も「一緒に良いイベントをつくろう!」と協力的な姿勢な方が多く、私達の考えや意見などを受け入れてくれる方がたくさんいらっしゃいます。

おかげ様で私たちもフレキシブルにものづくりができるようになりました。

―『白A』特徴はテクノロジーを活用するパフォーマンスですが、元々、プロジェクションマッピングやARなど経験があったのでしょうか?

白Aというチームに、クリエイティブ関連の仕事をしていた者や、芸術大学出身者などはいません。メンバーが独学で力を付けてきました。

代表の佐藤も軟式野球で全国準優勝している体育会出身です。映像に携わる経験がない中で、一から勉強し、今ではプロジェクションマッピング界でトップクラスまで登りつめました。

自分たちの力で作り上げてきた団体です。

写真:本人提供

スポーツ×エンターテインメントに取り組む理由について

ー様々なパフォーマンス方法がある中で、なぜ、プロジェクションマッピングやARと新体操を組み合わせようと考えたのでしょうか? 

ダンスや演劇だけでは「飽きられてしまう」というが不安がありました。エンターテインメントとして新しい手法を取り入れなければいけないと心のどこかで考えていたと思います。

映像とパフォーマンスを組み合わせ、試行錯誤を繰り返し、プロジェクションマッピングを使った白Aのパフォーマンスが認められるようになりました。海外からもオファーをいただくなど、白Aの新しいパフォーマンスのベースができたと思います。

ARの導入は、コロナ禍でリアルなイベントが出来ない中で、プロジェクションマッピングに変わるパフォーマンスとして行いました。

このパフォーマンスが話題になり、メディアに取り上げていただき新しい白Aのカタチとして定着しました。

コロナの影響でリアルなイベントができないという逆境をプラスへ変えることができたと思います。

プロジェクションマッピングもARも、白Aの「おもしろそうだからやってみよう」という考えがあるからこそチャレンジできたと思います。そして、いち早く取り組んだからこそ、ノウハウを積み重ね自分たちのカタチにすることができたと思います。

これも、白Aのメンバーが主体的に動き、今の環境を楽しみながら仕事に取り組めているからだと思います。社長を中心に試行錯誤を繰り返し、進化し続けていると思います。

ー白Aで活動する一方、『ONE team Legend』という活動も行っております。この活動の目的を教えていただけますか?

『ONE team Legend』は、男子新体操競技の普及を目的に、コロナの影響で新体操に取り組む環境がなくなってしまった子ども達のために立ち上げました。白Aで培った、プロジェクションマッピングやARを使い、全日本新体操オンライン演技会を開催しようと考えたのです。

男子新体操は、クラブチームが非常に少なく、学校の部活動に依存しており、閉鎖的で発展しづらい実態があります。

この課題を解決するためには、男子新体操という競技を広め、クラブチームなど、新体操に取り組める環境作りが重要だと考えました。

男子新体操は、プロジェクションマッピングやARといったテクノロジーとの親和性が高く、新体操選手の身体能力に、音響やライトなど使えばエンターテインメントとして注目されると考えています。
華やかな舞台を作ることで、テレビやショー出演と発展させることができます。

男子新体操の魅力を最大限に伝え、競技者を増やしていきたいです。

写真:本人提供

―スポーツ×エンターテインメントの一つのカタチとして注目を集めそうですね。

男子新体操を初めて観る方は、新体操の迫力に驚かれ、感動されますが、更に音響など加えれば、与える感動も大きくなると思います。

男子新体操の未来を考えると、パフォーマンスに加えて様々な映像や音響技術を取り入れたほうがいいと私は思っています。

―新体操だからこそ、できることはたくさんあるかもしれないですね。

男子新体操はマイナースポーツです。だからこそ、実現できることもあります。小さなコミュニティを活かして取り組めることがあると思います。

祝さんが目指すもの

―様々な活動をされている祝さんですが、ご自身の活動を通じて広げたいことはどのようなことでしょうか? 

私は、男子新体操の認知を広げていきたいと考えています。そして、男子新体操を未来のエンターテインメントに一つにしたいと思っています。

男子新体操は、競技時代がエンターテインメントとの関連が高い、素晴らしいスポーツだと感じています。身体能力の高い選手が繰り出す技とプロジェクションマッピングやARのようなデジタル技術がマッチする競技はなかなかないと思います。

私は、男子新体操を普及する中で変えたいことがあります。

それは、男子新体操で収益化を図ることです。現状、学校の部活動が主流になっているので、子どもを使ってお金を取るという意識を持たれてしまい、収益化のハードルが高くなっています。

しかし、収益化を図ることで、メリットがあると考えます。
お客様からお金をいただいてパフォーマンスをしているというプロ意識を持つことができますし、いただいたお金で新しい取り組みや設備投資など、男子新体操界に還元ができると思います。

実際に、私が運営するチームでは子どもたちに出演料を渡しています。子ども達はプロとして自分を意識しますし、指導者もプロとして扱うので、お互いが高い意識の中でパフォーマンスができます。

何よりも、自分で稼ぐことを学ぶことができるので、社会を経験する一番良い機会だと私は思っています。

プロとして活動していることを発信していかなければ、後世が苦労します。子ども達の将来のために、収益化は必要です。

私は、男子新体動の魅力を伝え、無限の可能性を秘める子ども達の中から将来のスターを輩出できれば嬉しいです。

―最後に、祝さんが想うスポーツの価値を教えてください。

スポーツは人間を成長させるものだと思います。
その中で、目標に向けて取り組むプロセスが大きく人を成長させると考えています。「〇〇大会で優勝した」などの結果は後からついてくるもので、自分で計画を立て、目標に向けて一生懸命取り組んできたプロセスが大切です。

あとは、スポーツの世界は、小さな社会があると思います。
例えば、社長=監督、上司=先輩のように、組織の中で活動するので、社会に出るうえで必要なことを、スポーツを通じて学んだと感じています。

好きな競技を一生懸命頑張ることが、結果として、人として大きく成長する近道だと思います。
今、競技に取り組んでいる人で悩んでいる人も、一生懸命取り組むことは自分を成長させるきっかけになります。
あきらめず、全力で取り組んで欲しいと思います。