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アスリートの新しい活躍方法。フリーアスリートとは?

GUEST:本庄遥(ほんじょう はるか)

ソフトボール選手。インターハイ優勝、日本代表など経験。オーストラリア留学の後、フリースタイルアスリートとして世界各国を巡りソフトボールをプレー。ソフトボールの発展を目指し活動をしている。

※本記事はnote移行前の旧SPODGEから2020年6月11日に掲載した記事になります。



フリーアスリートの活動とは?

-本庄さんはいろいろな活動をされていると思います。本庄さんの夢を教えてください。

夢を「自分の夢」、「ソフトボール界」、「スポーツ界」の3つに分けてお答えさせていただきます。 

1つ目の「自分の夢」は、大好きなソフトボールをレベル問わず一生現役でやり続けていきたいなと思っています。

2つ目の「ソフトボール界」は、ソフトボール選手が自分の好きなレベル・場所で、好きなだけソフトボールができるような環境づくりをしていきたいと思っています。

そして3つ目の「スポーツ界」ですが、私のような自分のやりたいことに合わせてアスリートとして活動する「フリーアスリート」を増やしていきたいと思っています。

-フリーアスリートとは具体的にどういったものでしょうか?

イメージは「フリーランスのアスリート」です。企業やチームに所属せず、自分のタイミングで国内外いろんな場所やチームで自分の好きな競技を続けられる選手のことを「フリーアスリート」と定義しています。

例えば、半年間はソフトボールをやって、残りの半年は仕事に専念する。他の趣味も取り組んでいけるような、自分がやりたい時にスポーツが続けられる環境づくりをしたいと思っています。

-スポーツと仕事を両立する「デュアルキャリアアスリート」の概念にも似ていますね。フリーアスリートになろうと考えたきっかけを教えてください。

オーストラリアへ2017年11月から1年6か月間留学していて、3シーズンをプレーしました。

オーストラリアはレベル別に分けられているので、自分に見合った競技レベルでプレーすることができます。私の所属チームにはオーストラリア代表のエースがいたので、私は自動的にA2リーグというカテゴリーのエースとして活動しました。

3シーズン過ごす中で、参加する人が違うことに気づきました。去年までいたチームメイトがいなくなったり、ダンス優先の選手はソフトボールの試合は来れるときだけ来たり、サッカーを優先するため冬のリーグには参加しないチームメイトもいました。

練習も基本月曜日に行っていましたが、土日の大会がハードなときは「疲れたから明日は休みにしよう!」と練習がなくなることもありました。

最初は「チームスポーツなのにありえない!」と思いましたが、考えてみると自分のやりたいことをやっているだけで、人生を楽しんでいたんです。

実際、プレーするときはみんな熱量が高く、大会直前はお互いに激を飛ばしたり、泣いたりとチームとして一体化していて衝撃を受けたことを覚えています。

※写真はご本人からの提供

ありのままの感情で生きてる姿を見て、「ソフトボールが好き、楽しむためにやる」という「for-fun」のためにやっていたことに初めて気付きました。

私は高校の時にインターハイで優勝しましたが、アジア選手権の選考では優勝高校である私のチームからピッチャーが誰も選ばれませんでした。
ソフトボールは7,8割ピッチャーの力で勝敗が決まると言われているのに、優勝チームから誰も選出されないことが残念でした。

そして、優勝の価値って何だろうとすごく思いました。

もちろんスキルが高い選手が選ばれましたが、皆、高身長スピードピッチャー。身長が低いことが原因だったのかもしれないと、非常に悔しかったことを覚えています。

しかし、オーストラリアでは身長について一切言われることはなく、「本庄遥」という1人の投手として見てもらえたんです。「遥は本当にすごく良いボールを投げるよね!」とコーチやチームメイトから何度も褒めてもらいました。

人種で差別されることもなく、ひとりの人間として見てもらえたことに感動しましたし、こういう世界があることを日本にも広めていきたいと思うようになりました。

-素晴らしい環境でソフトボールに向き合えたんですね。日本の実業団に所属をすれば、生活の安定などメリットもあると思いますが、お声がかかることはなかったのでしょうか?

オーストラリアから帰国する際に、とある実業団から「うちのセレクションを受けに来ないか?」とご連絡をいただきました。
ただ、企業でソフトボールと関係のない仕事をするよりも、得意なピッチングを教えたり、オーストラリアのような環境があることを知ってもらうために情報発信したいと思いました。

実業団では生活は安定すると思います。
しかし、一方で仕事とスポーツを両立しなければいけません。そこが少し窮屈に感じてしまったんです。

フリーで活動することで、ソフトボールをはじめ、自分のやりたいことに対して100%時間が使えます。スポーツ界、ソフトボール界を良くしていく為には私自身の自由度を高くすることが最善だと思い、フリーアスリートに挑戦しようと思いました。

ソフトボールに対する考えについて

-今は男子チームで活動をされていらっしゃいますよね?

アメリカのトライアウトで結果を残す為に、男子チームを選択しました。海外はパワーヒッターが多いので、男子のレベルで通用すれば、自信を持ってアメリカに渡航ができると考えました。

SNSで調べ、今のチームと繋がり入部させていただきました。公式戦には出場できないので、チーム登録はせず、練習試合で相手チームに事前相談の上、投げさせてもらっていました。チームレベルが高くアメリカ渡航前に最適な環境でソフトボールができました。

※写真はご本人からの提供

-ソフトボール界はこれから伸びていきそうだと思います。

そうですね。ただ、まだまだマイナースポーツだと思います。女子は上野由岐子選手を筆頭にチームやリーグがあることは知られていますが、男子のソフトボールもあるんです。

ソフトボールの情報は知る機会が少ないので、魅力を伝えきれていないと思っています。その原因は企業チームで会社員として働いているため、SNSの情報発信や試合前後の自由な時間などのルールが厳しいとお聞きしました。

-ソフトボールを知っているや経験した人は多いと思います。

ソフトボールを小学生の時に経験された方は多いと思いますが、競技を続けていく環境が少ないと思います。ソフトボール部がない学校が多く、他のスポーツに移る子が多いのが現状です。

仮に部活動があったとしても非常に厳しいルールがあり、髪型や服装の指定、携帯電話禁止など、窮屈に思える環境だと思います。

-厳しすぎる環境が目立ってしまっているんですね。

もう一つ、ソフトボールは観る魅力が少ないと思っています。野球と比べるとピッチャーとバッターの距離が近いのでボールが飛ばないですし、得点の動きが少なく、ホームラン一つで試合が終わってしまうこともあります。

本当はバックネット裏とかから見るとインコースからアウトコースまで大きく曲がるような変化や迫力があるんです。

選手が増えて、競技を続ける環境が整えば、競技人口も増えていくと思います。手軽にできて、誰でも楽しめるスポーツですから。

コロナ過での活動について

-現在(コロナウイルスにより、活動自粛中)の活動はいかがですか?

選手としてはトレーニングやヨガなどの家でできる範囲で動いていて、それ以外は基本的に仕事か読書をしています。

特に力を入れている活動が英語学習を習慣化する「90 ENGLISH」の運営とコミュニティマネージャーを担当しています。
生徒の目標設定だけでなく、所属しているコーチがより良い環境でお仕事をしてもらえるような環境整備にも力を入れています。英語を習慣化する新規事業も担当していて、一緒に英語を頑張るためのサポートをしています。

あとは大手企業さんの社内ベンチャーで新しいサービスに向けたマーケティングの責任者をしたり、スポンサー獲得の方法を勉強できるサブスクリプション型のコミュニティを運営したりしています。毎朝ファンクラブへ投稿も忘れていません。

-活動される中で意識されることはありますか?

「あえて暇をつくる」「時間を有効活用する」ことは意識しています。自分の時間を有効にするためにです。

私は低血圧で身体的に朝起きることにストレスがかかるため、フリーになってからは自分の体調を考え、午前中にはできるだけ予定を入れないようにしました。元スターバックスCEOの岩田さんも午前中をフリータイムを設定し、時間を有効活用されていることをお聞きしました。

以前は全日程に予定が入れることが日課でしたが、無理に予定を入れることで、考える時間がなくなったり、タスクが溢れかえっていたんです。

あえて暇を作るようになってからは、自分の時間ができましたし、タスクなど来た瞬間に対応することができるようになりました。
それを心掛けてからは、一気にストレスも解消され、全てのことがうまく回るようになりました。

スポーツの価値を伝えていくために。

-少し話題を変えます。ソフトボールという競技は本庄さんの中でどういった影響を与えましたか?

ソフトボールは「本庄遥を表現する1つのツール」です。
だからこそ、小学校の頃から続けてきたソフトボールに恩返しをしたい気持ちが大きいからこそ普及活動を行っています。
自身がソフトボールを続けることで、誰かに喜んでもらえたり誰かの力になれることは、私の喜びであり、強みになっています。

プロダーツプレーヤーとインフルエンサーとして活動する「まよんぬ」さんへ「私の活動は実業団や本気でソフトボールの練習を取り組む方からすると、中途半端に見えるんじゃないかな」という悩み相談したところ「本気で競技のことが好きじゃなかったら、こんなに時間を割いて競技を広めたいとは思わないでしょ」という言葉をいただきました。この言葉に衝撃を受けました。

ソフトボールの価値を高めれば高めるほど日本代表や実業団の人たちがもっと豊かに生活ができるようになったり、ソフトボールをサポートしてくれる方が増えたりとまわりまわって全て繋がります。好きだから続けることを強く自信を持って言えるようになりました。

-本庄さんが考える「スポーツの価値」とはどういったものでしょうか?

スポーツの価値は「自分が有効活用できるか、できないか」だと思っています。

インターハイ優勝経験や、日本一に関わったことがある人はたくさんいらっしゃいます。しかし、本当に大切なのは結果を出した後です。「日本一」「日本代表」「オリンピック選手」など、自分の実績をうまくブランディングできるかだと思うんです。

スポーツ選手は「チームのみんなが活躍してくれた」とか「総合力で勝てた」みたいに謙遜することが多いですが、自分も頑張ってきたことですし、自分のブランディングに使わないのはもったいないと私は思います。

私自身、高校インターハイ優勝というと何年も前の話だと思いますが、今もこの実績が使えること自体、とても強みだと思うんです。

スポーツの価値を高めるのは「スポーツの成績を自分で堂々と言えるか言えないか」というところに掛かってくると思います。

-スポーツの経験を言語化することは恥ずかしい事ではなく、胸を張って言うことで、そのスポーツに興味を持つ人が出てきたり、憧れを持つ人が増えればスポーツの価値が上がるかもしれないですね。

私も更に力をつけていき、自分でスポーツの経験や価値を発信していきます。こうして取材をしてもらえるような環境作りや。自分で本を書くなど知名度を広げることも重要ですよね。

※写真はご本人からの提供

-今後、特に注力していきたい活動はありますか?

最近は特に「コミュニティ」に興味があります。

今、「個人の時代」と言われていますが、アスリートも個人の時代に入ってきていると思うんです。一人ひとりが個人のキャラクターを活かし、スポーツ×〇〇みたいに強みがある人がもっとたくさん出てきたら面白いなと思います。

私自身の活動としては、国内外問わず色んなレベルでソフトボールを楽しむことは変わらず、動画を撮影したり、ブログを書きながら発信していきたいです。そして、ソフトボールをしたいという方をいろんなチームに繋げるハブのようは存在になれればいいなと思っています。

あとは、30歳になるまでに「アスリートとビジネスで活躍する人は本庄遥だよね」と言われることが中期的な目標です。
競技力が高い女性の方はたくさんいらっしゃいますが、更にビジネススキルを持って活躍している人がもっと活躍してほしいと思っています。活躍する女性アスリートの第一人者として、私が先頭を引っ張って、日本を変えます。


本庄遥さんの情報一覧

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