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メンタルトレーニングのパイオニアが考える、スポーツが持つ価値や可能性

GUEST:臼井博文(うすい ひろふみ)

静岡県沼津市出身、早稲田大学卒。
株式会社サンリ(https://www.sanri.co.jp/)取締役/能力開発研究室室長
JADA日本能力開発分析協会認定、SBTグランドマスターコーチ

スポーツ・ビジネス・教育、全ての分野の潜在能力開発に携わる。
スポーツの分野では、指導を受けた200名以上の選手・チームが世界大会に出場。
五輪では通算4個の金メダル獲得をサポート。中学・高校でも300校以上が全国大会出場し37校が全国優勝。甲子園には30校が出場し6校が優勝を果たす。

ビジネスの分野でも、上場企業をはじめとした企業の経営者・幹部・社員教育を全国各地で実施し、数多くの実績を上げている。また教育の分野でも、進路講演、教職員研修、校長会研修の講師として全国各地より講演依頼を受けている。
■主な著書
・本番で実力を発揮するメンタルトレーニング その1「緊張」
・本番で実力を発揮するメンタルトレーニング その2「諦めないハートの作り方」

※本記事はnote移行前の旧SPODGEから2018年6月28日に掲載した記事になります。


〇株式会社サンリ紹介
1970年代から大脳生理学、心理学に基づく『ブレイントレーニング』の研究をスタートし、ビジネス、スポーツ、教育等、あらゆる分野のメンタルサポートを提供。研究を始めた当時は誰もメンタルトレーニングを知らない時代。スポーツの現場では根性論、強要指導、勝利至上主義が常識だった。株式会社SANRIはその時代に、根性ではなくメンタル。管理ではなく自主性。勝利だけではなく人間力の重要性をあらゆる現場で訴えてきた。『時代に必要とされる常識を創る』。メンタルトレーニングのパイオニアとして現在注目を集めている。


今回は、アスリートを対象としたメンタルトレーニングメソッドの提供により、過去数えきれないほどの五輪メダリストや主要国際大会での表彰台選手を輩出していらっしゃる、株式会社サンリ取締役の臼井さんにお時間を頂戴し、インタビューをさせていただきました!メンタルトレーニングのパイオニアとして活躍してきた株式会社サンリ様の具体的なトレーニング方法の秘密、サンリさんからみるスポーツの価値についてお話をいただきました。



サンリ特有のトレーニング概念。欧米人と、日本人の特性が違う。だからトレーニング方法も違う


臼井さん:大成する人に共通する特徴は、プラス思考の人です。
イメージトレーニングをスポーツでしようとしても、実はプラス思考の状態でやることと、マイナス思考の状態でやるのとは全く違うんですよね。

元々欧米では、あなたは成功するとか、夢は叶うとか言われてきて育ってきた子どもたちはビジネスの世界でも成功するというイメージを持っています。
でも、日本人は基本的にはそうではない。もともと反省の文化で育っているので、全く変わってくる。
つまり、欧米の人と同じメンタルトレーニングをしようとしても、そもそも根本の背景が違うので、まずは土台をそろえないといけないですよね。それが、プラス思考でいることだと思います。どんな状態でもプラスにしか考えられない、という状況になれるかどうかですよね。すごく大事なことだと思います。
30年間の研究の中で、テクニック的な呼吸法とかそういうものは意味がないと気づきました。最近になって、やっぱりこれだよね。というものに気づけましたね。

また、マイナス思考が少ない方が、プラス思考は作りやすいです。失敗経験を積むことよって、自然と、マイナス思考の考え方が蓄積されていってしまいます。その状態を脱するには、その経験をプラスに変えて捉える力をつけること。それが、私たちが提唱しているスーパーブレイントレーニングという手法です。

失敗経験が多いほど、プラス思考を作りにくくなってしまうということはあるので、その傾向を改善していくことが必要です。実は、いつからでも改善することはできて、大学生からでも、プロになってからも遅くはないです。

若いうちからトレーニングした方がいいに決まっていますが、そうはいってもすべてがそうできるとは限りません。小学生に教えるのであれば、そもそも失敗経験が少ないので、プラス思考になりやすいし、トレーニングはしやすいですよね。大人になると、理屈もわかるようになるので、マイナスな経験をプラスな経験に変えることができるようになるので、究極はどの段階でも大丈夫だとは思います。年代によってアプローチの仕方を変えていくということが必要です。

大切なことは、年代問わず、素直であり、負けず嫌いであるかどうかということは非常に重要です。ビジネスに置き換えて、一企業の社長様であってもそういった気持ちを持ち続けていれば、いつでも良くなれるということだと思います。


人生の成功に必要不可欠なのはプラス思考であること

―巷では、営業職という仕事に対して、大変そうだといったようなマイナスなイメージがありますよね。他にも就職活動する前からこういったマイナスのイメージは世の中にたくさんあるのではないでしょうか。

それは、感じますね。ただ、私は逆にチャンスかなと思います。その職種を志望する同世代が少なければ差別化を図って、自分にしか出来ないスキルが身につくと思います。経営者の方と話をしていても、優秀な人は他の人がやらない、人によってはマイナスに捉えることに対してでも、プラス思考を作り、実行することできる。そういった概念は非常に重要になってくるなと感じます。
営業職の人気がないなら、その職種で唯一無二の存在になったらどこからでも採用される人財になるんじゃないかと思ってしまいます。

―その考え方がプラス思考ですね。本当の意味でのプラス思考へのなり方を知っている人はどのくらいいると思いますか?

臼井さん:5~10%だけが、本当の意味でそういった考えを持っていると思います。ほとんどの人が、元気!とか、明るい!ことをプラス思考といっている人が多いんですけど、実はそういったことではないんです。

本当の意味でのプラス思考は、危機管理能力を持つこと。あらゆることに対応する力を持っているかどうかということですね。経営者の方でも、アスリートの方でも、ビジネスマンでも、マイナスなイメージをどうプラスに転換できるかということが非常に重要だと思います。いろんな負のイメージのものをプラスに転換できる人が、報酬や、地位を獲得していくものだと思っています。

アスリートである誇りを胸に社会で活躍してほしい、これからの時代に求められるスポーツの価値

臼井さん:これからの時代は、あらゆることに対して自分で考えて「無から有」を作り上げていく力が必要になってきますね。そういう時代が来ると思っています。

スポーツの価値自体これからは伝えていかないといけない。選手自身がそもそもスポーツをしていることが素晴らしいことだということを知る必要があると思います。

アスリートに価値があると考える理由は2つあります。一つはコミュニケーションを抵抗なく取れる方が多いということ。二つ目は、壊すことを恐れていないこと。どうしたらもっと良くなるかという視点を忘れずに常に新しいことに挑戦することができるし、その行動に対して抵抗はない点が最も価値のあることだと思います。勇気をもってやり方や方法を変えるという動作が、日常的に行われてきている。

これからの日本はそういう能力が必要なんですね。スポーツをやっているから頭が悪いとかそういうことを言われる必要はなくて。ビジネスで必要な力を大学スポーツの世界で養っているということを理解してほしいなと思いますね。

アスリートにはそのまま活躍してもらえたらいいなと思います。社会人で学ぶのではなくて、大学生から学ぶということが大切だと感じています。高校生じゃ、あまり効果的ではないなと。
結局古い体質の大学に放り込まれて可能性が無駄になってしまう。そう感じますね。大学の時間の過ごし方でその方の人生は大きく変わるきっかけになると思います。

―学生自身が素晴らしいことをやっているという認識がないというのは問題かもしれないですね。社会が体育会を求めているということを学生自身が理解していないかもしれないですね。

臼井さん:体育会学生がそう思えないのは、社会とつながっていないという不安感が原因だと思います。社会にどういう職業があってどんな未来があるのかを意識しながら練習することができないということが問題だと思います。結局体育会の活動と、自分自身の将来の活動がリンクしないので。

試合に勝つとか、優勝するという目標を達成するというイメージはあっても、その先の自分の人生を考えるということをしていないですよね。日本の教育の仕組みや、流れがそうなっていないのも課題かなと感じています。

すべての大学、高校、中学、様々なカテゴリーで今スポーツを通じて頑張っていることが、将来社会に出るときにつながっているという認識がないことが問題だと思います。ただ、勝てばいいということではなくて、その先とつながっている感覚がすごく重要です。

―:社会とスポーツがつながっていないというキーワードは重要ですね。スポーツと社会がつながるために必要なことは?

臼井さん:スポーツの価値を訴えないといけないですよね。運動部自体がどうこうではなく、スポーツそのものの価値を伝えていかないといけない。しかも大学生の間で。社会とつながっている期間がこの大学生時代の活動なので。

高校の時に今やっていることがどうつながっているかという話をしている方もいるんですけど、高校ではイメージしづらいですよね。

大学は、少なくとも2年生くらいから不安に駆られたり、自ら考え出しますよね。意識がそこにあるので、教育はしやすいです。そういう考えを学べる環境にしていく必要があるかなと思いますね。レギュラーでもない人たちが、ビジネスの世界で戦えるのかというのを証明し続けることが必要だなと感じますね。

スポーツ、ビジネス領域、いつからでも改善できる

臼井さん:いろんな変化のパターンがあるんですが、ビジネスパーソンでの例ですが、やはり常に1番になりたいということを思いながら働いている人ってすごく少ないですよね。また、社員教育をする中で、プラス思考で働いている人が少ないですよね。本当に。

だからこそ、研修をする中で、プラス思考に変わっていくと、会社としても雰囲気は変わっていきますよね。そもそもネガティブな意見は出てこなくなりますね。
あと、経営陣と現場社員や部署間で対立しているということはよくありますが、研修によって改善されるということはありますね。

臼井さん:ビジネスに関しては、仕事が大好きという状態に持っていくことができれば改善されます。勉強もそうですが、しなければいけないものというように認識している考え方を変えてあげることが、脳に対してできれば問題ないかと思いますね。スポーツに関しては、さらに難易度は上がりますけどね。スポーツはそれだけをやっても大きな改善は見られないので。

私たちが実施しているNo,1プロジェクトでは、本来スポーツを通じて学べること学んでもらうことを大事にしています。勝つことだけでなくて、人間的成長をできると思うんですよね。人に感動してもらったり、人から感謝されたりということを通じて、人間的成功と、社会的成功を手に入れることができればいいなと感じています。

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